重合や熱によるアクリルの製法
高い耐久性と加工性で、多くの製品素材として利用されているアクリル樹脂ですが、一体どのようにして加工され製品化されているのでしょうか。
ここでは、アクリル樹脂が製造されるまでの過程を見ていきたいと思います。
まず、MMA(Methyl methacrylate)モノマー(単分子)と呼ばれる液体のメタクリル酸メチルに、モノマー同士を結び付ける「重合」という反応をさせてポリマー(高分子)にする為、重合開始剤を加えたり、熱を加えたりします。
そうすると重合が始まり、液体が次第にとろみを出し、最終的には個体になります。
このようにしてできた物がアクリル樹脂で、粒状(ペレット)にしたものを「成形材料」、板状にしたものを「アクリル板」と呼びます。
ちなみに、アクリル樹脂は「メタクリル樹脂」とも呼ばれていますが、アクリル繊維の原料となるAN(アクリロニトリル)とは全く別物になります。
成形材料の製造方法は、反応釜の中に水とモノマー類を入れて、重合を開始することでビーズ状のポリマーが作られ、水切り乾燥後、押出機によってペレット状にする「懸濁重合法」、モノマー類そのものを、製造過程で溶融してペレット状にする「塊状重合法」、水の代わりに溶剤を使用し、重合して揮発成分を除去した後にペレット状にする「溶液重合法」
の3種類があります。
成形材料は、様々な加工用途に対応する為に、加工性を改良したグレードがありますが、加工機械の特性に合わせた重合度の度合いによって、溶融時の流動特性をコントロールしているのが主で、構造や組成に大幅な変更を加えていないものが大部分です。
アクリル板を作り出す方法は3種類あり、最も古くから使用されている製法である、2枚のガラス板の間で塊状重合を行い板にする「セルキャスト法」と、連続した鏡面ステンレスのベルトを、キャタピラ状に上下に2枚並べ、そのベルトの間にモノマーを流入させ、ベルトを動かしながら塊状重合を行い板にする「連続キャスト法」、ポリマーを押出機によって加熱溶融した後に、吐出口からシート状にして押し出し、冷却固化する際にロールにより鏡面転写を行う事によって連続的に板を作り出す「押出法」があります。
アクリル板は、透明性の高い見た目の美しさと、アクリル樹脂の持つ耐候性と加工性の高さから、看板やディスプレイ、サンルーフやカーポート等の屋外用途や、スーパーの食品売り場の間仕切りや、照明カバー等のインテリア、他にも、家電やOA機器の銘板等、多くの用途に使用されています。